まさか そんな寄生虫がいるなんて知りもしませんでした。
ハワイでの感染
この寄生虫を知ったのはハワイでの感染事例です。現在ハワイではこの寄生虫の注意喚起が行われ注目されています。
3人の感染者の内1人だけ感染源とみられるものがわかっています。その人物は野菜やフルーツをそのまま大量に食べたと言います。
しかし、なぜ野菜をそのまま食べただけで、脳に寄生する寄生虫に感染したのでしょうか。
感染源
感染症の病名は広東住血線虫症といい、広東住血線虫による感染症です。
その寄生虫は、普段ネズミの肺にいるのですがタンを呑み込むことで糞として体外に出されます。それを、ナメクジやカタツムリが食べます。
このことから、ハワイで感染した人物の感染源は野菜についていたナメクジやカタツムリを食べたことだと推察しています。
厄介なことにこの寄生虫はナメクジやカタツムリが食べたあとに、ネズミがナメクジやカタツムリを食べるので、サイクルが生まれます。ネズミの体内に入り脳で成虫したあと、肺へと移動して卵を産み体外に出てまたネズミの体内に入るというサイクルが続きます。
ナメクジを食べる遊びによる感染
オーストラリアで19歳の少年がナメクジが食べられるか挑戦する遊びをしたところ、感染しその後合併症を患い死亡したという事例があります。
感染予防
感染予防としては、そういったナメクジを口にしないために野菜はよく洗ってから食べることが大事です。また、淡水エビ、陸生のカニにも寄生している可能性があるため、良く火を通す必要があります。
日本でも感染例があり1件死亡例があります。およそ60%が沖縄ということで、現在注意喚起が行われているハワイや、オーストラリアから、温かい地域では特に注意が必要です。
以下NIID 国立感染研究所から引用
治療・予防
特効的な治療法はなく、治療の主体は対症療法である。プレドニゾロンを40〜60mg/日投与 し、数週間後に減量するのがよい7)。Tsai et al.8)はグルココルチコステロイドを併用したメベンダ ゾールの投与がよいとしている。脳圧降下のためには20%マニトールや10%グリセロールの投与、 腰椎穿刺による髄液の排除を行う。
感染予防のためには、流行地で中間宿主や待機宿主を生食しないこと、また、野菜サラダなどにも注意が必要である。ナメクジの生食、あるいはヒキガエルの肝の生食を勧める民間療法を禁ずる。